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JAN〜APR,2001

4年2ヶ月にわたり、いっしょに暮らしてきたこの伊織が、
4月3日に静かに息を引き取りました。
いろんな事がいっぱい詰まった伊織の成長日記、完結です。

JAN,2001


初めての雪景色


何が出るかな?


どっちへ行こうかな?

 毎年恒例、実家に帰省してきました。
 今年は何と!黒川温泉の旅館に1泊と言う贅沢が出来てホクホク(*^^*) 絶対に籠から出さない事を条件に、特別に伊織もOK! ありがとうございました…ホント。
 今年はどこも寒さが厳しい日が多く、東京でも毎週のように雪が積もりましたが、九州と言えども黒川温泉は阿蘇の近く、やっぱり雪が積もっていました。
 2年くらい前に玄関に雪をもってきて遊ばせた事はあったけど、実際に雪景色の中を歩くのは初めての伊織。フェレットは熱さにも寒さにも弱いような事をむかし参考にした本に書いてあったので心配したのですが、興味の方が勝ったのか元気よくお散歩しておりました。
 たまに寒くなると足下に寄ってきて後ろ足で立って「抱っこ」のポーズ。しばらく私の懐でじっとしていたかと思うと、じたばたと暴れだし、またお散歩。その繰り返しで結局1時間くらいは遊んでいました。こっちの方が寒かった…(^^;)
 中居さん達や他の宿泊客の方にもどうにか迷惑をおかけする事なく、可愛がってもらいました(^^)

 そういえば、大観望の売店のところで野性のたぬきにもあいました。ちょっと毛並みがボサボサでやせ細っていた感じだったので、病気だったのかも知れません…。売店の残り物とかで食べ繋いでいるんでしょうね。


FEB,2001


どこでも登るのが好き

 実家から帰って1週間くらいした辺りからずっと下痢しちゃってる伊織。
 動物の下痢や便秘は怖いとよくいわれます。
 色んな病気の兆候だからです。
 それでも別に元気がないワケでもなく、食欲もあり、普通に生活できている…。かといって、我慢強いフェレットの事、油断はできません。
 本当は用心して病院に連れて行きたいのだけれど、こういう時に限って仕事が山積み、毎日、昼も夜も仕事してばかりでなかなか時間が取れずじまい。うう、ごめんね…(涙)
 せめてもの気休めにホッカイロを入れたりしてあったかくしてみました。遊んでる時もけっこう震えたりしてたので。
 そうこうしているうちに下痢もおさまってきて(笑) でもまだ半々ぐらいかな。
 寒いせいか遊ぶ時間も短めだし、まだまだ心配なところですが、もうちょっと待ってね。どのみち、そろそろワクチンの季節だし、病院には遅かれ早かれ行くんだし(笑)
 それにしても、何が原因なんだろう…。今回は実家の愛犬マリリンともちょっとコミュニケーションしちゃったしな…。(ちなみに、一度ノミをうつされた事がある^^;)
 そう言えば、おつまみに取っておいた「いか軟骨」も食べられた(爆) それか!?


MAR,2001


後ろ足をひきずってたころ
(目をぱっちりあけていられないらしい…)

 やっぱり下痢が心配で病院に連れて行ったのが3/4。
 体重は800gくらいでちょっと落ちてはいたものの、この時はまだ元気がありました。ご飯の選り好みが激しくなって、普段あげているフードは残していたので体重が落ちたんだとしか思いませんでした。
 便検査もしてもらったけど異常なし、とりあえず抗生物質と下痢止めのお薬を貰って様子を見ましょうということになりました。
 お薬は伊織の好む味だったので割と飲ませるのは簡単で、便の状態もやや固形に近いものもするようになりました。
 ところが、その2週間後、朝方5時頃に眠って、8時過ぎにふと目を醒ましてトイレに行ったら、伊織の侵入防止に戸の前に置いておいたファンヒーターに下半身を捕らわれてもがいている伊織の姿が! 別にヒーターは倒れているワケでもないのにどうしてそこに挟まってしまったのか見当もつかないのだが、とにかく伊織の下半身はマヒ状態でぐったりと動かない。人間でも、ずっと正座していると足の感覚がなくなるように、たぶん伊織もそうなっていたのだ。
 かかりつけの病院が開くのが9時。それまで、足や腰を摩っていたら少しずつ感覚が戻ってきたのか足を動かすようになった。
 予め電話をしておいたので、病院に着いたらまっ先に見てもらえた。レントゲンを撮ってもらったが、幸いなことに骨には異常なし。でも、やっぱり体重は680g程に落ちていた。ご飯を食べる気はあるのだが、なかなか食べないので、また皮下注射と、下痢止めのお薬を貰った。
 しばらく様子を見、4日後に再診。まだ下痢が続くので便検査と、皮下注射と皮下輸液、下痢止めのお薬、缶に入ったペースト状のご飯を貰った。これは、針のない注射器のようなもので口に流し込まなければならない。だけど、ご飯に関しては、もはや「選り好み」ではないような気がしたので、この際、無理矢理にでも栄養のあるものを食べてもらいたかった。
 また、この日は血液検査をしてみましょうということになった。
 伊織の小さい体では、血液検査をするための採血が難しい。血管が細いし、かと言ってそこが無理ならば爪の血管を使うと言う。となれば、かなりの痛みを生じる。それは飼い主の判断にゆだねられる。私は、普通の採血でダメなら仕方がないです、爪の血管は切らせたくない、と答えました。
 なんとか腕の方で採血ができ、その量でできるだけの種類の検査をしてもらいました。
 結果は、どうやら肝臓機能が低下しているらしい、ということでした。他にも、標準値から数値が微妙にずれているところがありはしたものの、決定的な原因は判らなかった。
 思いつく限り聞いてみたが、心臓失陥でも、フィラリアでもないのは確かだという。
 この時、入院させるかどうか迷った。点滴を受けさせるのは小さいフェレットには大変な事だ。自宅では出来ない。でも、病院側も、ずっと伊織に係りっきりではない。今は自宅勤務だし、自分がずっと見ていて世話をした方がいいかも…と判断した。正直な話、情けなくも治療費や入院費の心配もした。

 それにしても、あんなに元気だった伊織がみるみるうちに具合が悪くなってしまって、どうしたらいいのか解らない。ただ、見守るばかり。うまく歩くことも出来なくて、下半身を引き摺るようにして匍匐前進する伊織を見たら、泣けてきた。
 うちはフローリングなので伊織が滑って歩きにくそうだから、敷布をしいた。すると、よろよろになっている伊織が、潜り込んで遊ぼうとし始めたのだ。ものすごく緩慢な動作で、いつものように仰向けになってぽこぽこと敷布を蹴りあげる。私は、普段ならそれを敷布の上からくすぐったりしていたのだが、その時は力を加減してそっとさするだけにした。 2〜3度そうしただけで、疲れてしまったのか伊織はくったりとやめてしまった。涙が止まらなかった。


APR,2001


最初で最後のお花見


ん〜〜〜なんだろう〜?


はぁ…今日は疲れた…


最後の2ショット

 先月末からの看病で、自分自身がすっかり参ってしまっていたのでこれでは伊織にもよくないと、思い切って病院の後に友達と、伊織をお花見に連れて行きました。
 そういえば伊織をちゃんとお花見させた事なかったな…と思って。
 こうして改めて写真を見ると、毛づやがよくないですね…。もうかなり体力も落ちていたし。
 いつものキャリーケースではなく、バスケットにセーターと、寒くないようにホッカイロも入れておきました。あんまり揺れて気分が悪くならないように気をつけながら…。
 最初に行った馬事公苑はペット持ち込み禁止だったので籠からは出さず、ちょっと開けてみる程度。それではつまらないと、その近くにある病院の桜並木で撮ったのが左の写 真。はしゃぐ元気はないのですが、風を感じたりはしていたようです。
 次は世田谷公園。ここではバスケットから出してみました。すると、ちょっと元気になったのか前足だけで匍匐前進して少しだけ運動。そのあと、注射器でご飯をあげるもすごく嫌がってうまくいかない。この時ばかりはどこにこんな力が残ってるのか、ってくらい嫌がる。
 初めは美味しそうにしていたのだが、すぐに嫌がるようになったのだ。やっぱり注射器が嫌なんだろうか…。咀嚼はするけど、飲み込む時に喉が痛くなるのかな…?
 とにかくご飯を食べさせるのは大変で、なかなか飲み込んでくれなくて、ここ1週間難儀していた。
 お花見の後は、友達と我が家で晩ご飯。いつも、食卓を狙っている伊織だがこの日はさすがに30cmテーブルすら届かない。病院の皮下注射が効いたのか、夜には意外と元気で、友達が歩く練習などをさせていて、後ろ足を持って支えてやると、数歩は上手く普通 に歩けたりしたので私は手放しで喜んだ。もしかしたら、徐々に良くなるのかも知れない。ここのところ悲観的になっていたのでそれはとても嬉しかった。この日はすっかり安心して、酔いもあってかとても気持ち好く眠れた。
 ところが、早朝ふと目を醒ましたら、カーペットの上で痙攣を起こしている伊織がいた。
 とにかく驚いた。何が起こったのか一瞬解らなかった。昨夜はあんなに元気だったのに。
 抱き上げてみても、痙攣はおさまらなくて、それどころか一目見て、目を見開いている、伊織のその目が見えていないことが判った。私が抱き上げていることすら、もしかしたら気付いていないのかも知れなかった。
 急いで病院に電話をして、すぐに診てもらった。やっぱり、失明していた。ショック状態はまだ続いていて、注射を打ってもらった。多分、病院側も、打つ手はなかったのだろう。「入院させてください」と言った私に、遠回しに、「看取ってやってください」というような感じのことをおっしゃった。私自身も、こうなってはもう手遅れであろう事は、うすうすわかっていたのだ。だけど…。
 家に戻ってからも、なす術なくて、撫でてあげるばかりだった。
 伊織は、少し意識を取り戻して盛んに前足を動かした。トイレに行きたいのかな?と思って抱えてあげると、前足だけで歩こうとする。こんなになっても、ちゃんとトイレでしようという気持ちはあるんだな、と妙なところに感心した。でも、ほとんど何も食べてない状態だったので便は少ししか出なかった。
 伊織の気持ちの中では、きっと、自分が病気なんだという事が理解できていなかったのだろう。どうして自分のからだが思うように動かないのか不思議で、動け、動け、って思っていたのかも知れない。でも、すぐにぜいぜいと息を荒げてくるしそうにした。あわてて抱きかかえる。
 そうしながら、伊織を自分のベッドに横たえてやると、やがて浅早呼吸のままぐったりと動かなくなった。寝ているらしかったが、眼を見開いたままだった。
 こういう時に限って、仕事の電話がかかってきたりする。伊織にかかりっきりだったので家賃もまだ未納。一時も離れていたくないのにそうもいかなかった…。
 やがて夜になったが、伊織は眼も醒まさないし寝返りも打たなかったので、別に床擦れとかにはならないだろうがたまに動かしてやった。もう昏睡状態で反応はまったくなくなった。
 飼い主に迫られる、数々の選択。それとは気付かずに選んでしまった道もある。それらを思い返したところで何にもならないけれど、ぐるぐるとそんな事ばかりが思い出される。
 自分に言い聞かせるように「だいじょうぶだよ、だいじょうぶだよ」って言いながら、撫で続けた。鼻が渇いていたので、時折、お薬を飲ませる針のない注射器で水を口の端からさすと、それはこくりこくりと嚥下した。
 何時間も、ただ、そうしているだけで、他にしてあげられる事もなくて、やりきれなかった。もし、このまま寝たきりになったら、私はちゃんと面 倒を見てあげられるのか。色んな思いが渦巻いた。
 添い寝をするも眠れずに、やがて、日付けが変わって、伊織の呼吸が急に遅くなった。それまでは普段の倍くらいの浅早呼吸だったのが、だんだんと間隔が長くなって…とうとう、次の呼吸がなくなった。
 胸に耳を当てると、トトトトト…と早い鼓動があった。人工呼吸をしなければ、と思うと同時に『するべきなのか?』とも思った。そして、次に耳を当てた時には何も聞こえなくなっていた。声をかけて、ゆすって、心臓マッサージをして、という気持ちはあったが、行動には移さなかった。もう、苦しめたくなかった。
 眠るように、静かに、息を引き取った伊織。きっと、「死」の意味すら知らなかった。それでいい。死の恐怖もなかっただろう。ただ、少し苦しい思いはさせてしまったかも知らない。だからもう、そうっとしておいた。
「がんばったね…」って、それから、「ごめんね」って、それしか言えなかった。


それから…

 葬儀の作法も何も知らないけど、記憶を頼りに真似事のような事をした。ゲージの北側にろうそくを一晩中点けて、お線香の代わりにお香を焚いて、伊織をいつものハンモックの上に寝かせた。
 真夜中だったけど、友達に電話したら、タクシーで来てくれた。別の友達も、昏睡状態に入った時、「行こうか?」って言ってくれたけど、悪いからと断わった。この時も、一度は断わったが、それでもと来てくれた。せっかく来てくれても、私は泣く事しか出来なかったけれど…。
 友達が帰って、一人になったら壊れたように泣きじゃくって、来てくれた意味がようやくその時に解った。
 しばらくはカイロを入れたままで暖かかった伊織の体も、しだいに固くなって、鼻や爪の先が赤黒く変色し始めた。ちょうどこの頃、亡くなった親を「いっしょに居たいから」という理由で自宅に保管していた女性の事件があって、ふとその気持ちが解るような気がしていたけれど、その姿を見ていたら「一刻も早く土に還してあげたい」という気持ちの方が勝った。
 夜が明けて、ペット斎場に電話をして、友達の仕事が終わる7時過ぎに荼毘にふしてもらう事になった。小雨が降り始めていた。
 子どもの頃、『葬儀の時などに雨が降ると、その人は天寿を全うしたという事なんだ』と聞いたことがあるので、それが救いだった。余談だが、49日の日にも雨が降っていた。

 それから、どうやら私は「ペットロス」というものになってしまったらしかった。毎日毎日、どうしようもないくらい泣いた。
 哀しいのと同じくらい、自分が許せなかった。自分が伊織の命を縮めたんだと思った。それから、看病していた時のことも色々と思い返しては「あれでよかったのか」と自問自答した。
 そんな最中の4月の終わり、前々から予定されていた九州旅行に伊織の遺骨とともに出発。伊織もいっしょに行けるかどうか…なんて心配していたのが遠い出来事のようだった。最終日には、実家の庭に伊織を埋めて、その上に花の苗を植えた。
 旅行中は、すっかり立ち直れた気になっていたが、帰ってきたら、また泣き続けた。これが、49日を過ぎても続いて、さすがに自分で自分に呆れてきた。カウンセリングなどを受けるべきかとも悩んだが、やめた。もっと深刻な病気で悩んでいる人たちにも、伊織にも申し訳ないような気がしたからだ。
 そんなこんなで、2ヶ月が過ぎた頃、夢の中に伊織が出てきた。
 夢の中でも私はベッドに寝ていて、伊織は右腕の上にぴったり寄り添って寝ていた。その顔は、ふにゃふにゃ〜っと幸せそうで、とっても気持ちよさそうだった。私はただ、それを眺めてぽんぽんと伊織を撫でていた。それだけの夢だった。
 起きてみたら、ものすごく幸せな気持ちになって、そっちのほうにビックリした。伊織の夢なんか見たら泣いてしまうと思っていたから。
 私は本当は泣きたくなんかなかった。泣いたって、どうなるものでもないし、もし伊織に「魂」というものがあったら、私が泣く事によってこの地に引き摺られてしまうような気がしたし、とにかくいい事なんかひとつもない、と思っていた。だから、この夢を機に立ち直る事ができるような気がした。
 その後、4ヶ月が経った今、2日おき、3日おき、とだんだん間隔は空くにしろ、情けない事に結局は未だに立ち直れないままでいます。ひと月くらい前に、また伊織が夢に出てきましたが、その時は何と「久しぶり〜v」なんて言ってました。めちゃ明るく。どうなってるんでしょう。願望なんでしょうか。
 ペットショップなどに行くと、すぐにでも次の子をお迎えしたい衝動に駆られてしまいますが、今の私には、それはまだまだ先の話になりそうです。
 もっと、精神的にも、時間的にも、経済的にも、余裕が持てるようになったら、ゆっくり考えようかと思ってます。自分自身、成長が必要です。

 つたない文章でしたが、「伊織の成長日記」はこれで完結です。
 これまで伊織を見守ってくれた方々に、感謝をこめて…。

2001/08/12 しゅう&伊織

 

 


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